DV・モラハラ

モラハラを理由として夫・妻に慰謝料を請求する方法と注意点

モラハラによる離婚が増えています。裁判所が発表した平性29年度の司法統計によると、男性が離婚調停を申し立てる理由の第2位が、「精神的虐待」です。女性の離婚理由としても、第3位に挙がっています。

この記事をご覧になっている方の中にも、モラハラを原因とした離婚に悩んでいる方がいらっしゃるかもしれません。

それでは、モラハラを理由に離婚をした場合、慰謝料を請求することはできるのでしょうか?

今回は、「モラハラを理由として慰謝料を請求する方法」を紹介したうえで、慰謝料を請求する流れや注意点についても解説します。

どのような行為がモラハラにあたるのか

まず、「そもそもモラハラとは何か」を確認しておきましょう。

モラル・ハラスメントとは、「過度な束縛や侮辱的な発言によって、精神的なストレスを与えること」です。

例えば、下記のような行為がモラハラに該当します。

類型 具体例
人格を否定する 「育ちが悪い」「身分が低い」「家事が下手だ」等のネガティブな発言をする
大声で怒鳴る 気に入らないことがあるとすぐに怒鳴って威圧する
相手の存在そのものを無視する 何を話しかけても返事をしない、生活費を渡さない
スケジュールを監視する メールや電話で執拗に所在を確認する、誰と一緒にいるのかを監視する、電話に出ないと激怒する
行動を制限する 友人や親戚と会うことを禁止する

モラハラの具体例については、下記ページにてご説明しておりますので、詳しくはそちらをご覧ください。

モラハラは慰謝料の対象になる

モラハラの程度が悪質であり、夫婦関係が実質的に破綻している場合には、モラハラを理由として離婚をすることができます。そして、モラハラを理由として離婚する場合は慰謝料を請求することも可能です。

ただし、「モラハラ」と一言でいっても、様々な種類のモラハラがあります。「どのようなモラハラがあれば慰謝料を請求できるのか」については、明確な線引きがあるわけではありません。

モラハラの慰謝料は、はっきりとした計算方法があるわけではありません。具体的な線引きが無いものの、経験豊富な弁護士であればこれまでに数多くの離婚のトラブルを解決した実績がありますので、「こういうケースでは慰謝料の相場はこれくらいである」という大まかな見通しをすることが可能です。

「自分が受けているモラハラが慰謝料の対象になるのか」「どれぐらいの慰謝料がもらえるのか」ということについて、具体的なアドバイスをお聞きしたい方は、なるべく早い段階で弁護士に相談してみると良いでしょう。

モラハラの慰謝料の相場

あくまで一般的な相場ですが、モラハラを原因として離婚をする場合は、慰謝料はおよそ50万円から300万円となります。

モラハラに悩んでいる期間が長く、精神科や女性センターなどの専門機関に相談している場合には、慰謝料が高額となる傾向があります。

慰謝料を請求する場合の注意点

モラハラの慰謝料を請求する場合は、2つの注意点があります。

注意点1:慰謝料が認められるためには証拠が必要

裁判で慰謝料が認定されるためには、「モラハラを立証する証拠」が必要です。どんなにひどいモラハラで悩んでいても、十分な証拠が無ければ、残念ながら慰謝料を獲得することはできません。

裁判官は、提出された証拠を精査したうえで、「モラハラによってどれだけ辛い思いをしたか」ということを判断します。裁判官は、公平性を保つために、証拠によって慰謝料を認定することが義務付けられています。「かわいそうだ」という感情だけでは、慰謝料を認めることができません。

一般的に、モラハラは密室で行われるため、「証拠を確保しにくい」という問題点があります。モラハラの証拠となるものは、暴言を記録した動画や音声データ、モラハラを記録したメモや日記、精神科にかかった際の診断書などです。

拠として必要となる資料は、ケースバイケースによって異なります。お手持ちの資料が証拠として十分なのかどうか分からないという方は、離婚に強い弁護士に相談しましょう。

注意点2:離婚後でも慰謝料を請求することができる

この記事をお読みの方の中には、「モラハラの慰謝料がもらえると知らなかったので、離婚の際に慰謝料をもらわなかった」という方がいらっしゃるかもしれません。

このような場合でも、心配ありません。離婚の慰謝料は、「離婚後」であっても請求することができます

ただし、慰謝料の請求には「時効(じこう)」があります。モラハラを原因として離婚をした場合、離婚が成立して3年以上が経っている場合は、慰謝料を請求することはできません。

反対に、まだ離婚が成立して3年以内であれば、今からでも慰謝料を請求することができます。時効が迫っている方は、早急に対策を取る必要がありますので、できる限りお早めに弁護士にご相談ください。

慰謝料を請求する流れ

モラハラでお悩みの場合、「離婚をするとしたら、まず何をしたら良いのか」ということが分からず、不安を持っている方がいらっしゃるかもしれません。

モラハラを原因として離婚をする場合、どのような流れになるのでしょうか?離婚届を出すタイミングは、慰謝料を受け取る前なのでしょうか?それとも受け取った後なのでしょうか?

モラハラを原因として離婚する流れには、下記の2つのパターンがあります。

ケース1:まず離婚をしてモラハラから逃れる

モラハラでお悩みの方の中には、「とにかく早く離婚をしたい」という方がいらっしゃいます。

このような場合には、「まず離婚をしてモラハラから解放されて、その後にゆっくり慰謝料を請求する」という方法があります。

離婚をする際には、たくさんのことを話し合わなければいけません。例えば、財産分与や年金分割、婚姻費用の精算などについて取り決めをしなければいけません。子どもがいる場合には、親権や養育費、面会交流などについても話し合いが必要です。

これらの問題に加えて、慰謝料についても取り決めをしようとすると、ますます時間がかかってしまいます。

モラハラを受けている方の中には、「お金のことよりも、とにかく早く離婚したい」という方もいらっしゃいます。このような場合は、まず離婚を成立させて、離婚後に落ち着いてから慰謝料を請求することをお勧めいたします。

モラハラでお悩みの方の中には、心身ともに疲れ切っている方もいらっしゃいます。このような場合には、心を安定させるためにも、まず離婚をして離れることも選択肢の一つです。

離婚をして気分を変えることで、精神的なストレスが軽減するかもしれません。モラハラの相手から離れることで、慰謝料について冷静に考えることができる可能性もあります。

後で慰謝料を請求する場合の注意点

慰謝料を後回しにして離婚をする場合には、2つの注意点があります。

第1に、慰謝料の請求には時効があります。モラハラを原因として離婚をした場合、離婚が成立して3年が経過すると、離婚の慰謝料は請求できなくなります。

第2に、財産分与をする際に、「離婚の慰謝料は別途請求する」ということを明らかにしておかなければ、将来的に慰謝料を請求する際にトラブルとなる可能性があります。

このように、離婚後に慰謝料を請求することをお考えの方は、上記の2つの点に注意しなければいけません。いずれも法律的な事柄ですので、「とにかく早く離婚したい」という方は、弁護士にご相談ください。

ケース2:慰謝料をきっちりもらってから離婚をする

離婚後の生活に不安がある方には、きちんと慰謝料を精算したうえで離婚をすることをお勧めいたします。

モラハラを原因として離婚をする場合は、慰謝料の相場はおよそ50万円から300万円です。離婚をすると、引っ越しや転職、子どもの転校などで多くのお金がかかりますので、慰謝料を先に獲得しておくと、離婚後の生活をスムーズに始めることができます。

ただし、慰謝料の金額について話し合いをしなければいけませんので、離婚が成立するまでに時間がかかってしまうおそれがあります。

特に、相手がモラハラを否定している場合や、相手が経済的に余裕が無い場合には、長期化するリスクがあります。

「離婚前に慰謝料の取り決めをしておきたいが、時間がかかることは避けたい」という方は、弁護士にご相談ください。弁護士に依頼すれば、早期に解決できる可能性があります。

モラハラを抜本的に解決するためには弁護士にご相談を

今回は、モラハラを理由として離婚をする場合に、慰謝料を請求する方法や流れについて解説しました。

モラハラは相手の心を支配する行為であるため、お一人で解決することが難しい場合が少なくありません。モラハラを抜本的に解決するためには、弁護士にご相談することをお勧めいたします。

弁護士は法律の専門家ですので、慰謝料の問題だけでなく、離婚後の生活や子どもの問題などについて、総合的にアドバイスすることができます。弁護士に慰謝料の交渉を依頼すれば、モラハラの相手と連絡を取る必要がなくなるというメリットもあります。