DV・モラハラ

モラハラを理由として夫・妻に慰謝料を請求する方法と注意点

この記事に来ていただいている方は「モラハラを理由に離婚したい…」「モラハラを理由に慰謝料はどのくらいもらえるのか」という悩みを抱えている方なのではないでしょうか。

モラハラを理由に離婚をした場合、慰謝料を請求することはできるのでしょうか?今回は、「モラハラ」という言葉の意味を確認した上で、「モラハラを理由として高額な慰謝料を請求する方法・流れ」などについて解説します。

目次

そもそも「モラハラ」とは?

「モラハラ」という言葉を、最近ニュースなどでよく目にするかと思いますが、ただ、「モラハラ」の定義や具体例をしっかり認識している人はそう多くはありません。慰謝料を請求するためには、まず「モラハラ」の言葉の意味をしっかり理解する必要があります。

そのため、ここでは「モラハラ」の定義や具体例などを確認します。

モラハラの定義

モラル・ハラスメントとは、「過度な束縛や侮辱的な発言によって、精神的なストレスを与えること」です。ただ、日本の法律で「モラハラ」の定義を定めたものはありません。

モラハラの具体例

例えば、下記のような行為がモラハラに該当します。

類型 具体例
人格を否定する 「育ちが悪い」「身分が低い」「家事が下手だ」等のネガティブな発言をする
大声で怒鳴る 気に入らないことがあるとすぐに怒鳴って威圧する
相手の存在そのものを無視する 何を話しかけても返事をしない、生活費を渡さない
スケジュールを監視する メールや電話で執拗に所在を確認する、誰と一緒にいるのかを監視する、電話に出ないと激怒する
行動を制限する 友人や親戚と会うことを禁止する

モラハラの具体例については、下記ページにてご説明しておりますので、詳しくはそちらをご覧ください。

モラハラを受けたことによる慰謝料の金額を増加できるケースと高額の慰謝料が認められた裁判例

上で説明したように「モラハラ」と一言で言っても、様々の態様があります。そのため、モラハラを理由とする慰謝料の相場は、各ケースによって大きな開きがあります。ここでは、どのような場合に慰謝料が高額となるのかを裁判例を踏まえて説明します。

慰謝料の金額を増加できるケース

モラハラを受けたことによる慰謝料の算定は、様々な事情を考慮して決めることとなります。一般的に、以下のような事情が複数あれば、慰謝料の金額は増加していきます。

①モラハラの期間が長い

→結婚期間の半分の期間、1年以上

②モラハラの回数が多い

→毎日、週の半分

③モラハラの程度が悪質

→ 「殺すぞ」などの脅迫としての態様、長時間に渡って怒鳴り散らし、人格を否定する言動をとる

④モラハラを受けたことにより心の病気になってしまった

→ うつ病になり会社に行けなくなった

⑤モラハラを受ける側に全く落ち度がない

→ 家事でのミスなど誰でもするようなミスに対して、延々と怒る

⑥モラハラをする側の収入が高い、資産が多い

→ 年代別の平均年齢と比較(30代の男性サラリーマンの平均年収は役480万円)

⑦子供がいる

⑧モラハラが原因で、婚姻関係が破綻した

→ モラハラの程度が悪質であり、その結果、夫婦関係が実質的に破綻に至った場合には、慰謝料の金額は高額となります。

このようにモラハラを理由として慰謝料の請求をする場合、様々な事情が重なってその金額を検討することとなります。この点については、経験豊富な弁護士に相談をすれば、どの程度の金額が妥当であるかを明確にアドバイスすることができます。

 

モラハラを理由に高額の慰謝料が認められた裁判例

ここでは参考のために、実際に起きた裁判でどの程度の慰謝料が認められたかについて説明します。

事例1(東京高判昭和54年1月29日)

①認められた金額(妻が夫に慰謝料請求)

500万円

②高額となった事情
  • 夫が無理にでも離婚しようと昼夜問わず執拗に嫌がらせの電話
  • 電話の内容は、妻やその両親、親族に対する悪口、侮辱的発言、脅迫
  • 妻の母「〇〇しま」宛てに黒枠に朱書し、宛名を「〇〇死魔」として葉書を出す

事例2(東京地裁平成17年11月11日)

①認められた金額(妻が夫に慰謝料請求)

200万円

②高額となった事情
  • 婚姻期間が30年以上
  • 夫が妻に対して、20年に渡って、明確な主従関係を強要
  • 夫の長期にわたっての高圧的な振る舞い

事例3(東京地裁平成17年3月8日)

①認められた金額

250万円

②高額となった事情
  • 婚姻期間は10年以上
  • 妻が持病で苦しんでいるにも関わらず「お前は頭がおかしい」「何でそんなに医者にかかるんだ」と非難し、時には実力で通院を妨害
  • 妻に対して小額の生活費しか渡していないにも関わらず、妻の支出について詳細に監督し非難する

これらの裁判例を踏まえると、婚姻期間が長く、さらに、モラハラの態様が悪質であればあるほど高額の慰謝料が認められる傾向にあります。ただ、婚姻期間が短かったとしても、モラハラの期間や悪質さによっては、もちろん高額の慰謝料が認められる可能性もあります。

高額の慰謝料を獲得するための方法

実際にモラハラ被害の事実があったとしても、全ての場合に高額の慰謝料請求が認められるとは限りません。モラハラを理由とする慰謝料を請求する場合には、請求する側にも準備が必要となります。
そこで、ここでは高額の慰謝料を請求するための方法を説明します。

証拠が何より重要!

モラハラの被害を受けて慰謝料を請求する場合は、モラハラの事実があったことを証明する証拠が必要です。逆に言うと、例え、モラハラがあったことが真実であったとしても、証拠がないと慰謝料請求が裁判所に認められる可能性が低くなってしまいます。
具体的な証拠の種類は以下のとおりです。

  • 暴言を吐かれた時の録音データ
  • モラハラ被害を受けたことを記したメモや日記
  • メールや手紙のやり取り
  • 第三者の証言
  • 病院に通院していることがわかる診断書

秘密で録音をしても問題なし!

録音については、相手の同意を得ずに、こっそり録音をしても法的に全く問題ありません。今ではスマートフォンなどで簡単に録音もできますので、意識的に証拠を集めたほうが、今後有利に話しを進めることができます。

メモや日記はできる限り具体的に!

録音を録ることが難しいという場合には、メモや日記をつけることも大切です。その場合はできる限り具体的に記述を残しましょう。

例えば、「暴言を吐かれて傷ついた」という記述ではなく、「相手から、2020年2月20日に、自宅で、頭が悪い、もっと考えて行動しろと説教された。説教は1時間くらい続いたので、心身共に疲弊し、悔しくて涙が出てしまった」など日にちや場所、思ったことなどを具体的に書いたほうがより信憑性が増します。

診断書は非常に有利な証拠

モラハラ被害によって、精神的に疲弊してしまった場合には、まず心療内科や専門のクリニックで診断をしてもらいましょう。そこで、うつ病や双極性感情障害などの診断書を取得することができれば、慰謝料請求をはじめ、離婚の手続きを有利に進めるための強い武器となります。

また、うつ病とまではいかなくても、モラハラにより落ち込んでしまった場合でも、まずは心療内科などで診察してもらうことをお勧めします。

モラハラは、言葉による暴力なので、証拠を残しづらいというイメージがあるかもしれませんが、ここで説明したとおり、証拠を集めることは可能です。証拠を集めることは非常に大変だとは思いますが、必ずや集めた証拠は、問題を有利に解決する手助けをしてくれます。

慰謝料請求の方法・流れ

慰謝料の請求の流れ

ここまでモラハラ被害による慰謝料請求をするまでの流れを説明しました。それでは、ここからは、実際に慰謝料請求をする方法などを説明します。モラハラ被害によって慰謝料請求をする場合、以下の方法が考えられます。

  • 当事者間での話し合い(交渉)
  • 離婚を前提とした離婚調停の中で慰謝料請求をする
  • 離婚を前提とした訴訟の中で慰謝料請求をする

それでは、各方法を詳しく説明します。

当事者間での話し合い(交渉)

そもそも、モラハラ被害を受けている方が、相手方と直接話し合いをすることは難しいかと思います。その場合は、例えば、ラインやメールで自分の主張を伝える方法も考えられます。この方法によれば、証拠にも残り、今後の交渉を有利に進めていくことができるかもしれません。

ただし、話し合いがうまくいかないということであれば、早々と見切りをつけ、次のステップに移行することが得策です。

離婚調停での慰謝料請求

家庭裁判所に対して、離婚調停の申立をし、その中で、慰謝料請求をする方法があります。この方法であれば、相手方と直接顔を合わせる必要もなく、中立的な立場である調停委員があなたの話しをしっかり聞いて、それを相手方に伝えてくれます。

ただ、離婚の話し合いをする場合には、慰謝料以外にも財産分与、親権、養育費など法律的な知識を必要とする複数の事項を話し合う必要があります。そのため調停をする場合には、専門家である弁護士に依頼して進めたほうが安心です。

離婚訴訟での慰謝料請求

離婚調停において、話し合いがうまくいかずに、調停が不成立となってしまった場合には、家庭裁判所に離婚訴訟を提起する方法があります。この方法においては、裁判官が、両者の意見や証拠を考慮し、判決という形で慰謝料の金額などを決めてくれます。

ただ、訴訟は、調停以上に、法的知識を要します。そのため、訴訟をする場合には尚更弁護士に相談することをお勧めします。

離婚をすることを前提で、慰謝料請求をする場合には、まず別居をすることをお勧め

同居をし、モラハラ被害を受けながら、慰謝料請求を含めた離婚の協議をすることは困難です。同居中に相手に対して慰謝料請求をした場合、感情を逆なでし、更なるモラハラ被害にあう危険性も十分にあります。

離婚をすることを前提で、慰謝料請求をする場合には、まず別居をすることをお勧めします。別居をすることで、モラハラ被害を避けつつ、しっかり離婚の協議をすることが可能となります。

相手方に対して、法律上、婚姻費用という生活費を毎月請求することもできる

別居をしたとしても、収入が少ないため今後の生活に不安を抱く方もいるかと思います。

この点については、別居をすれば、相手方に対して、法律上、婚姻費用という生活費を毎月請求することができます。婚姻費用の金額は、両者の年収と子どもの人数等によって異なります。参考に、裁判所が運用する婚姻費用・養育費の算定表を記載しておきます。

裁判所が運用する婚姻費用・養育費の算定表を記載しているところを貼り付ける

裁判所が運用する婚姻費用・養育費の算定表
引用先URL:http://www.courts.go.jp/about/siryo/H30shihou_houkoku/index.html

多くの方は、別居と同時にすぐに婚姻費用の請求をしており、これについても婚姻費用の請求調停を裁判所に申立をする方法があります。もし離婚の調停をするのであれば、この婚姻費用の請求調停も必ず合わせて申立てをすることをお勧めします。

別居をすることへの不安

別居をしたとしても、相手方が、住所を突き止め、待ち伏せするなど、嫌がらせをしてくるのではないか、という不安を抱いている方もいます。

この点については、別居をして、住民票を別居先に移したとしても、市役所で簡単な手続きをすれば、相手方が相談者の住民票を取得することはできなくなります。

また、別居中の配偶者から付きまとわれて困っている場合には、ストーカー規制法による保護を求めることができます。被害者は警察に備えてある警告申出書を警察に提出すると、警察本部長はストーカー行為者に警告を、都道府県公安委員会は禁止命令を出してもらうことができます。これに違反すると、懲役または罰金の刑が科せられます。

他にも、別居中の配偶者から、「殺すぞ」などと生命・身体に対して危険を及ぼすような脅迫があった場合には、裁判所に対して、保護命令の申立てをし、接近禁止の命令を出してもらうこともできます。

このように、別居をしたとしても、その後のケアについて法制度が整っておりますので、必要以上に不安を抱く必要はありません。

まとめ

今回は、モラハラを理由として離婚をする場合に、慰謝料を請求する方法や流れについて解説しました。

モラハラは相手の心を支配する行為です。そのため、そもそも自分がモラハラの被害者であると自覚できていない方も少なくありません。このページを最後まで読んでくださった方は、モラハラ被害に日々悩まされている方のはずです。

モラハラ被害をはじめ離婚の悩みを解決する上で、まず大切なのは、1人で悩みを抱えこまず、誰かに話しを聞いてもらうことです。ただ、離婚の問題は、非常にプライベートなことなので、なかなか友人や家族にも相談できないという方もおります。

そのような場合も含めて、離婚問題の専門家である弁護士に相談だけでもいいので話しを聞いてもらうことが大切です。
私は、これまで50件以上の離婚の相談を受け、問題を解決してきました。離婚問題でお悩みの方は、皆様それぞれ事情が異なり、1つとして同じ問題はありません。
特に離婚の問題においては、皆様の個々人の事情に耳を傾け、お気持ちに寄り添いながら、問題に取り組んでいくことを心掛けております。

離婚をすることに対しては、誰しもが不安を抱きます。その不安を解消するために全力でサポートさせて頂きます。まずは、相談だけでも問題ありません。お困りの方はいつでもご連絡ください。

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事務所名 弁護士鎌倉 鈴之助 葛南総合法律事務所
登録番号 49081
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千葉県弁護士会京葉支部 地域司法充実推進委員会
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