離婚のしかた

一度で受理してもらうための正しい離婚届の記入例と必要書類

離婚をする場合には、役所に「離婚届」を提出することが必要です。

離婚届に不備があると、窓口の方に受理してもらえません。離婚届を書き直すとなると、離婚相手に再度会わなければならず、時間も手間もかかります。既に別居している場合には、離婚届の書き直しのために別居相手と連絡を取らざるをえなくなり、気まずい思いをするかもしれません。

このような事態を避けるためにも、離婚届は正確に記載をすることが必要です。それでは、一度で離婚届を受理してもらうためには、どのような点に注意したらよいのでしょうか?

今回は、「一度で受理してもらうための正しい離婚届の書き方」を、離婚アドバイザーが詳しく解説します。

目次

離婚届の入手方法

まず、離婚届はどこで入手できるのでしょうか?

(1)役所に取りに行く

離婚届は、市役所や区役所、町村役場でもらうことができます。

離婚届は、全国共通の書式です。離婚届を入手した役所とは別に、他の役所に提出することも可能です。

(2)ダウンロードする

離婚届の書式は、下記のサイトからダウンロードすることができます。

札幌市役所ホームページ:離婚届(PDF形式, 130KB)

離婚届のフォーマットは、全国共通です。札幌市以外にお住まいの方であっても、上記のサイトからダウンロードした書式を使用することができます。

ただし、多くの役所では、用紙をA3サイズに限定しています。プリントアウトする際には、サイズ指定に注意しましょう。

また、一部の役所では、自宅でプリントアウトした用紙を受け付けてくれないこともあります。離婚届を記入する前に、念のため役所に確認しておきましょう。

(3)郵送で取り寄せる

離婚届は、郵送で取り寄せることが可能です。入手するまでに時間はかかりますが、ご自宅にプリンターが無い方や、役所に行く時間が無い方には、こちらの方法がお勧めです。

離婚届を書き始める前に準備すること

離婚届を書き始める前に、まず準備をすることがあります。

準備1:離婚後の「名字」と「本籍地」を決める

結婚によって名字や本籍地を変更した方は、離婚後の名字や本籍地を決めなければいけません。名字のことを、役所では「氏(うじ)」といいます。

選択肢としては、3種類あります。名字や本籍地をどうするのかについては、下記の3つのパターンから自由に選ぶことができます。

選択肢1:結婚前の名字に戻り、結婚前の戸籍に戻る

結婚前に使っていた「旧姓」に戻り、結婚前に使っていた戸籍に戻るという方法です。

例えば、結婚直前までご両親の戸籍に入っており、離婚後は実家に戻ってご両親の扶養に入るという方は、こちらの方法を選択することが一般的です。

選択肢2:結婚前の氏に戻るが、戸籍は新しく作る

結婚前の「旧姓」に戻りたいが、離婚後は新しく戸籍を作りたいという方は、こちらの方法を選択します。

例えば、ご両親が既に死亡している場合は、ご実家の戸籍は既に閉鎖されています。このような場合は、戻る戸籍がないため、新しくご自身で戸籍を作ることが必要となります。

選択肢3:離婚後も婚姻中の名字を名のり、新しく戸籍を作る

離婚後にも、婚姻中の名字を引き続き使用することができます。お子さまがいる方や、お仕事の都合で名字を変更したくない方などは、この方法を選択しています。

この場合には、「離婚の際に称していた氏を称する届」(戸籍法77条の2の届)を提出することが必要となります。

通常は、離婚届を提出する際に、「離婚の際に称していた氏を称する届」を同時に提出しします。もし諸事情によって同時に提出できない場合は、先に離婚届だけ出すこともできます。

この場合には、離婚届を提出した日から3ヶ月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出しなければいけません。忘れないように注意しましょう。

準備2:子どもの「親権者」を決める

未成年のお子さまがいらっしゃるご夫婦が離婚する場合は、離婚届を出す前に、子どもの「親権者」を決めなければいけません。

親権者とは、「未成年の子を監護・教育し、その財産を管理し、その子を代表して法律行為をする権利を有し、義務を負う者」のことです。

分かりやすくいうと、「子供と一緒に生活して身の回りの世話をする人」です。

離婚届には、子どもの親権者を記入する欄があります。この欄を空白のままにすると、離婚届は受理されません。このため、離婚届を提出する前に、必ず親権者を決める必要があります。

注意点1:子ども全員の親権者を決めなければいけない

未成年の子どもが何人かいる場合は、全員の親権者を記載しなければいけません。

お子さまごとに、それぞれ別の親権者を定めることも可能です。例えば、「長男は父親、長女と次女は母親」という取り決めも可能です。

注意点2:一度決めた親権者を変更することは難しい

最も注意すべき点は、「離婚届を早く出したいからといって、親権者の欄をよく考えずに記載してはいけない」ということです。

一度親権者を決めてしまうと、その後に変更することは容易ではありません。親権者を変更するためには、家庭裁判所での手続きが必要となります。しかも、家庭裁判所に申し立てをしたからといって、必ず親権者を変更できるとは限りません。

「一刻も早く離婚をしたいが、親権者について揉(も)めているため、離婚届を提出することができない」という方は、離婚届を出す前に、弁護士事務所に相談しましょう。

「親権者について話し合いがまとまらないために離婚届を出せない」という方は、数多くいらっしゃいます。このような場合に、「離婚届を出すために子どもの親権を諦めよう」と考えてしまうと、後に後悔するかもしれません。

親権者についてお悩みの場合は、離婚届を記入する前に、一度離婚を得意とする弁護士事務所を探し、相談すると良いでしょう。

離婚届の記入例・書き方

以上の準備が整ったら、いよいよ離婚届を記入しましょう。

離婚届の記入例

離婚届の記入サンプルは、下記の法務省のサイトから閲覧することができます。

法務省:離婚届の記入例(PDF)

項目ごとの注意点

下記では、離婚届を記入する際のポイントを、項目ごとに解説します。

(1)日付

離婚届の日付の欄には、「離婚届を提出した日」を記載します。「離婚届を記入した日」ではありませんので、注意しましょう。

いつ提出するのかが決まっていない方は、日付の欄を空白にしたまま役所に持っていき、窓口で記載しましょう。

(2)父母の氏名

「父母の氏名」の欄には、実父母の氏名を記入します。養父母がいる場合は、下から2段目の「その他」の欄に記載します。

「続き柄」の欄には、ご自身の続き柄を記載します。ご両親にとってご自身が長女である場合は、「長女」と記載します。

なお、実父母が既に亡くなっている場合であっても、父母の氏名は必ず記入しなければいけません。

(3)離婚の種別

夫婦間の話し合いによって離婚をする場合は、「協議離婚」にチェックを入れます。

裁判所で調停や審判を行った場合には、「調停」や「審判」の欄にチェックを入れます。ご自身の手続きがよく分からないという方は、裁判所でもらった書類を見てみましょう。書類の中に「調停」や「審判」という文字が書かれていますので、種別を確認することができます。

(4)婚姻前の氏に戻る者の本籍

結婚前の戸籍に戻る場合は、「もとの戸籍にもどる」の欄にチェックを入れます。

結婚前の戸籍に戻らず、離婚後に新しく戸籍を作る場合は、「新しい戸籍をつくる」の欄にチェックを入れます。

(5)未成年の子の氏名

20歳未満の子どもがいる場合は、親権者を記入する必要があります。お子さまが複数いらっしゃる場合には、全員の名前を記載しなければいけません。

例えば、お子さまが3人いらっしゃる場合(22歳、18歳、12歳)には、18歳と12歳のお子さまのお名前を記載します。

(6)同居の期間

一緒に暮らしていた期間を記載します。この欄は、婚姻期間と誤差があっても構いません。「実際に同じ家で暮らしていた期間」を記載します。

なお、同居を始めた日よりも結婚式の方が早い場合は、結婚式を挙げた日を記載します。

例えば、平成14年5月に結婚式を挙げて、平成14年11月に一緒に暮らし始めた場合は、「同居を始めたとき」の欄に「平成14年5月」と記載します。

(7)別居する前の住所

既に別居している場合は、「夫婦で一緒に暮らしていた住所」を記載します。

まだ別居していない場合は、この欄は空白のままにしておきます。

(8)届出人

離婚する本人が、ご自身の手で署名捺印をします。同じ印鑑を使うことはできませんので、各自別々の印鑑を用意しましょう。

(9)証人

「証人」の欄には、20歳以上の成人2名に署名捺印してもらう必要があります。代筆は認められておらず、実際に証人の手でサインをしてもらう必要があります。

外国籍の方に証人になってもらう場合は、「氏名」の欄には本国名を記載し、「本籍」の欄には国名を記載します。外国籍の方に限っては、印鑑を持っていない方がいらっしゃいますので、この場合はサインのみで構いません。

(10)未成年の子どもがいる場合の面会交流・養育費の分担

未成年の子どもがいる場合は、枠外の「未成年の子どもがいる場合は、次の□のあてはまるものにしるしをつけてください」という箇所も記入する必要があります。

面会交流や養育費の分担について、既に話し合いがまとまっている場合は、「取決めをしている」の欄にチェックを入れます。話し合いはしているものの、まだはっきりとまとまっていない場合は、「まだ決めていない」にチェックを入れます。

離婚届を提出する際に持っていくもの

離婚届を出すときに、持っていかなくてはいけないものがいくつかあります。忘れないように注意しましょう。

必ず持っていかなくてはいけないもの

  • 離婚届(本籍地でない役所に提出する場合は、2通必要です)
  • 身分証明書(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
  • 印鑑

場合によっては必要となるもの

下記の書類は、場合によっては必要となります。ご自身の状況に応じてご準備ください。

本籍地以外の役所に離婚届を提出する場合

・夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
夫婦の本籍地以外の役所に離婚届を出す場合には、「戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)」を持参する必要があります。戸籍謄本は、郵送で取り寄せることができます。

お子さまがいる場合

お子さまがいらっしゃる場合には、離婚届とは別の書類が必要となることがあります。状況によって異なりますが、「母の氏を称する入籍届」や「養子離縁届」が必要となる場合があります。

必須ではないが持っていくと便利なもの

下記の書類は、持っていくことが必須とはされていませんが、場合によっては役に立つことがあります。必要に応じてご準備ください。

通知カード、マイナンバーカード、住民基本台帳カード

離婚によって名字や住所を変更した場合、カードの裏面に変更事項が記載されます。離婚届と一緒にカードを持っていくと、その場で変更事項を記載してもらうことができます。

印鑑登録証明書

印鑑登録をしている方が、離婚によって名字を変更した場合、登録は自動的に抹消されます。引き続き登録を希望する場合は、再度申請することが必要です。

このとき、古い印鑑登録証明書を持っていくと、再申請の手続きがスムーズとなります。

離婚届を提出するタイミング

離婚届は、ご自身の好きなタイミングで提出することができます。多くの役所では、土日祝日であっても、離婚届を受け取ってもらえます。

離婚届が受理されると、住民票や戸籍が変更されます。変更の手続きには、1週間から2週間ほどかかります。

お子さまがいらっしゃる方の中には、入学や転校のタイミングで名字を変更することを検討されているかもしれません。変更の手続きには2週間ほどかかりますので、余裕を持って、入学や転校の1ヶ月前には離婚届を提出しておきましょう。

離婚届が受理されないケースとは

離婚届の書き方に不備がない場合であっても、例外的に離婚届が受理されないケースがあります。

下記のケースに限っては、離婚届が受理されません。このようなケースでお悩みの方は、なるべく早い段階で弁護士まで相談する必要があります。

「離婚届不受理申出」が出されている場合

夫(妻)が勝手に離婚届を出してしまうおそれがある場合は、「離婚届不受理申出」という書類を役所に提出することができます。

相手がこの届けを出している場合は、離婚届を受理してもらうことができません。このような場合、調停や審判など何らかの法的手続きが必要となりますので、弁護士に相談しましょう。

離婚届でお悩みの方はご相談ください

離婚届の書き方には、様々なルールがあります。多くの弁護士事務所では、離婚届に関するご相談も受け付けています。

離婚届の書き方だけではなく、慰謝料や財産分与などの気になることにも対応してくれますので、まずは離婚問題に強い弁護士事務所を探し、相談することをおすすめします。