離婚届を作成する場合に「両親や友人に離婚したことを打ち明けたくないのに…」と思う方もいると思います。証人欄を自分で書きたいと思う方もいるでしょう。このような場合は、バレてしまうのでしょうか?
この記事で解説をしますが、両親や友人に打ち明けずに証人欄を埋めることは可能です。正しい知識を持って、適切に対処していきましょう。この記事を読めば、証人の役割について深く理解できるようになるでしょう。ぜひ、この記事を参考にしてみてください。
- 証人が必要な場合と不要な場合がある
- 代行業者サービスに依頼できる
- 離婚に関する正しい知識を身につけることが大切

目次
離婚届の証人が必要となる条件

まず、どのような場合に証人が必要となるかを覚えておきましょう。
証人が必要な場合
離婚協議による話し合いの結果、夫婦合意のもとで離婚をする場合は、証人の署名・押印が必要となります。
証人が不要な場合
話し合いがまとまらない場合は「離婚調停」「離婚裁判」へと進んでいきます。家庭裁判所で離婚が正式に認められた場合は、裁判官が第三者として介入しているため、証人の署名・押印は不要です。
離婚の証人になれる3つの条件

離婚届には証人が必要だと説明した通りですが、証人になれる人には条件があります。
1.20歳以上である
証人は、20歳以上の成人であれば、両親・兄弟・姉妹・友人・子供などどなたでもなれます。
2.離婚の当事者ではない
夫婦以外の成人の方であれば両親・兄弟・友人などどなたでも証人になれます。証人欄は2名の枠が用意されていますが、夫婦それぞれ1名ずつ記載してもらわなくても、片方の両親や友人に依頼する形でも大丈夫です。
3.離婚協議によって離婚が成立した
繰り返しになりますが、離婚届の作成で証人が必要となるケースは、離婚協議のうえで離婚をした場合です。離婚調停や離婚裁判は、裁判官が第三者として介入をしているため、証人を用意する必要はありません。
証人が離婚届に記載する内容と準備するもの

両親や友人に証人になってもらうために準備してもらうもの、記載してもらう内容についても把握しておきましょう。
記載する内容
証人欄に記入する内容としては「署名・押印」「生年月日」「住所」「本籍地」があります。
事前に準備をしておくもの
証人欄に記載した内容を証明するためには、下記を準備しておきます。
・印鑑
自分の両親に証人になってもらう場合もあるでしょう。そのような場合は同じ認印では離婚届は受理されないため、別々の印鑑を用意してください。認印でも問題はありません。
・本籍地が分かる資料
自分の本籍地が分かるように住民票などを取得しておきましょう。本籍地が未記入や間違っている場合は、窓口に提出しても離婚届は受理してもらえないため注意してください。
離婚届の証人になる場合のリスクはあるのか?

証人は20歳以上の成人で、離婚の当事者でなければ誰でもなれます。一般的には、片方の両親や友人などに依頼をするケースが多いようですが、証人になってもらうことをお願いする場合に迷惑をかけないかを心配してしまうでしょう。
しかし、離婚届の証人となるリスクは、ほぼありません。証人の署名は「夫婦は離婚するとお聞きしました」という意味を表すものだけで、証人が法的な責任を負いません。
離婚届に虚偽などがある場合や、片方が勝手に作成した離婚届の証人になってしまうと、私文書偽造に協力したとみなされてしまうため注意が必要です。
離婚届で証人(2人分の署名・押印)が必要な理由

離婚届の作成では証人の署名・押印が必要となりますが、その理由についても押さえておきましょう。
虚偽でないことを証明する
離婚届に記載された内容(氏名や本籍地)が虚偽である場合や、離婚の覚悟がないのに作成されたなども可能性としてゼロではありません。そのため、証人を立てて記載内容や離婚する事実が虚偽でないことを証明する必要があります。
離婚の覚悟が夫婦共にあることを証明する
両親や友人など第三者にも負担をかける分、離婚に対する覚悟が夫婦共にあることを証明する効果が期待できます。
離婚届の証人が見つからない場合の対策方法

両親や友人に離婚を知られたくない人もいると思います。このような事情によって、証人が見つからない場合は、次のような業者や専門家に代筆を依頼してみてください。
離婚届証人代行サービスを利用する
離婚届証人代行サービスを提供している業者も増えてきています。必要事項を記載した離婚届を郵送すれば、証人枠に署名・押印してくれて返送してくれるサービスで、証人欄を急いで記入してもらいたい場合などにも最適です。
弁護士などの専門家に依頼する
離婚協議の取り決めの相談を弁護士に依頼をしている場合は、弁護士に証人になってもらえます。離婚協議書の作成などと併せてお任せできるのため便利です。
補足:自分で代筆すると刑罰の対象となるので注意
離婚届証人代行サービスや弁護士などは便利ですが、依頼する際に費用がかかります。そのため、証人欄を自分1人で書いて提出したいと思う方もいるでしょう。しかし、このような行為は有印私文書偽造罪・同行使罪として罰せられる可能性もあるので注意が必要です。
(私文書偽造等)第一五九条
1行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
2他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
3前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。(引用元:刑法第159条)
離婚届の証人の役割を把握して適切に手続きしましょう
離婚届を作成する際に証人を立てる理由は、離婚届が片方だけで作成されて提出されていないか、虚偽の内容が記載されていないかを確認するために必要となります。自分自身で証人の代筆をしてしまうと刑罰の対象になってしまうので注意しましょう。
しかし、離婚届証人代行サービスを利用するという方法も選択できます。この記事でも分かるように、離婚をする際は離婚に関する知識を身に付けておき、自分に有利な状況で進めていきましょう。
