財産分与

離婚時の財産分与には期限や時効がある?いつまでに何をすれば良いか

財産分与の期限

離婚時に財産分与を行いますが、この財産分与には時効があるのでしょうか?また、いつまでにどんなことをすればいいのか分からない方も多いでしょう。

そこで、ここでは離婚時の財産分与の期限やいつまでに何をすべきかなどについて詳しくご説明します。この記事を読めば、財産分与の一連の流れが分かるでしょう。離婚をお考えの方もそうでない方もぜひご参考にしていただければと思います。

サキヨミ!この記事の結論
  • 財産分与の期限は2年間と定められている
  • 期限が定められているため速やかに手続きを行うことが大切
  • 財産分与の割合は自由に決められるため慎重に考慮すべき

財産分与の時効は2年

財産分与の期限

財産分与の期限は、離婚後2年間と決められています。この期間は、消滅時効期間ではなくて除斥期間で、この除斥期間は時効と同じくある一定の期限が過ぎると請求ができなくなる制度のことをいいます。ただ、時効とは異なって、停止や中断はできません。

期限の延長はできるのか

財産分与の期限は、延長できません。慰謝料の場合は、内容証明を郵送するなどの手続きを行えば、6か月時効を伸ばすことはできます。一方で財産分与の場合は除斥期間となるため、時効を延長することはできません。

つまり、離婚後2年以内に家庭裁判所に審判や調停などの申し立てをすれば、それらが確定するまでの間は財産分与を請求することができます。

財産分与を請求の流れ

財産分与の流れ

財産分与の請求は期限が設けられているため注意が必要です。ここでは、財産分与を請求するために行う一連の手続きの流れについて解説します。

1.財産をリストアップする

財産分与を行うときには、結婚後の夫婦の共有財産をすべてリストアップします。このとき、プラスの財産だけではなくて、マイナスの財産も把握しなければいけません。次に、リストアップした財産をもとに財産の総額を割り出します。

たとえば、収入を調べるとき、サラリーマンの場合は源泉徴収票、自営業の場合は確定申告時の資料をもとに計算します。預貯金は、すべての預金通帳の額を足し合わせてください。不動産は、不動産業に査定してもらう方法があります。

住宅ローンは、金融機関から送られてくる返済予定表で残高を把握しておきましょう。財産から借金の総額を引いた金額が共有財産の金額となります。

特有財産は財産分与の対象外

例外的に共有財産から除かれて、各自の財産とされるものがあります。これを「特有財産」と言います。特有財産は、次のような財産が該当します。

独身時代に手に入れた財産 現金、預貯金、株、債権、私的年金、不動産、積立型保険、自動車、将来の退職金、家電、家財道具
相続した財産 現金、預貯金、株、債権、不動産、骨董品、美術品、自動車、借金
個人で築いた財産 独身時代に行った投資の配当金、独身時代の財産で行った投資の配当金、趣味やギャンブルなどでつくった借金
自分しか使用しない家財道具 男物、女物の区別がある服飾品、携帯電話やスマートフォン、日常的に消費されてしまうもの

2.不動産・自動車などは評価額を調べる

負動作や自動車など、そのままでは分けられないものは、金銭的な価値(評価額)を出した上で、分け方を決めていきます。評価額は時期に応じて変動するため、財産分与をする時点での評価額で計算します。いくらで売れるかが重要であり、購入したときの値段は評価額として参考になりません。

評価額を出すときには、個人で調べるよりも、専門家に鑑定または査定を依頼するほうが将来的なトラブルも避けられるでしょう。不動産は不動産業者や不動産鑑定士に、自動車は中古販売会社にそれぞれ査定を依頼すれば、市場価格を知ることができます。

3.へそくりや退職金も共有財産に入れる

家計の中から節約して作った「へそくり」を夫や妻に内緒で貯めるということは、決して珍しいことではありません。このようなへそくりは、自分の努力で作ったものだから、自分のものになると考える人もいます。しかし、実際には婚姻中に夫婦が協力して得た共有財産とされ、当然、財産分与の対象です

また、退職金は給与の後払い的な性質があると考えられています。そのため、退職金も財産分与の対象となります。退職金は、会社を退職しない限り支給されませんが、どのように分けるのでしょうか?

この場合、定年退職が目前で、退職金の支給が確実に見込まれているようなときは、財産分与の対象に含むのが一般的です。支給の見込みは、会社の宗教規則や支給実績をもとに確認します。

4.財産分与の割合を決める

財産分与の割合は、夫婦の話し合いで自由に決めることができます。ただし、原則として2分の1ずつ分けるのが基準となっています。話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所に調停の申立てを行いましょう。調停が不成立になった場合は、離婚裁判で解決を目指します。

調停や裁判では、収入のない専業主婦の場合も、共有財産の2分の1を受け取ることが認められるというのが現在の家庭裁判所の考えです。

[家庭裁判所に調停の申立てをする際に必要な書類と費用]

  • 家事調停申立書(財産分与)
  • 申立人の戸籍謄本 1通
  • 相手方の戸籍謄本 1通
  • 不動産登記簿謄本 1通
  • 未登記の場合は固定資産評価証明書 1通
  • 収入印紙1,200円
  • 連絡用の郵便切手(代金は裁判所によって異なる)

5.財産の分け方を決める

財産分与の割合が決まったら、財産の分け方を決めます。すべての財産が現金ではなくて、中には土地のように分けにくいものも出てくるでしょう。これらは売却して現金を分けるか、代わりに別の財産をあてるのかなどを考慮することになります。

財産分与でトラブルになりやすい6つの資産

財産分与の対象となる財産かどうかは個別に判断しますが、その判断を巡ってトラブルになりやすいものがあります。このような財産を分与する場合は、話し合いで合意できないこともあるでしょう。話し合いでまとまらなかった場合は、裁判所に判断を求めることも可能です。

資産の種類 財産分与の対象になる 財産分与の対象にならない
退職金 ・既に支払われ、預貯金・現金に還元されたもの
・支払時期が近づいて支払いが確実なもの(3年以内)
・離婚後に支払われたもの
・支払時期がかなり先であるもの
借金(負債) ・住宅ローンやマイカーローンなど夫婦の共有財産とみなされる負債 ・配偶者の消費者金融などからの借金
別居中の形成資産 ・夫婦協力して形成したとみなされるもの ・左のケースを除いては、原則として財産分与の対象にならない
特殊な資格 ・医師など高収入な資格取得を支えた場合 ・一般の資格
姓名保険 ・支払われた満期保険金 ・離婚後に満期となる保険金
夫婦の一方が経営する会社 ・経営している株式会社の本人の保有株
・実質的に個人経営で個人と変わらない会社の財産
会社名義の財産

財産分与で押さえておきたい譲渡所得税

財産分与で不動産を与えた側は、利益を得たわけではないので譲渡所得がないと思われがちです。しかし、所得税法は、不動産により年々発生して蓄積された利益そのものを所得として捉え、それが、所有者の支配から離れるときに一挙に所得が実現したものとして、これを清算して譲渡所得税を課税しているのです。

したがって、財産分与の時点で売却したことと同じ経済的利益があったとみなされて、所得金額を上回った額に対して課税されます。

しかし、居住用の不動産を財産分与した場合は、3,000万円の特別控除や軽減税率が適用されますが、この規定は配偶者や親族に対する譲渡については認められません。したがって、特別控除等を受けるためには、離婚が成立してから、不動産の譲渡を行う必要があります。

実際の判例で確認してみよう

[経緯]
離婚した夫から妻への財産分与および慰謝料として、妻子が居住する不動産が妻に譲渡されました。この不動産の譲渡に際し、税務署が夫の譲渡所得とみなして所得税の更生処分等を行ったため、夫と税務署長官で、譲渡所得税が課税されるかどうかで争われた。(1975年5月 最高裁)

[争点]
離婚の財産分与での不動産の譲渡で、分与義務者の譲渡所得が発生するかどうかがポイント。

[判決]
財産分与での不動産の譲渡であっても、通常の不動産売買の譲渡と同じように、経済的利益があったとみなされ譲渡す所得税課税の対象になるとした。

離婚はお金の問題を避けられません

離婚するときに大きな問題の1つになるのが、お金についての問題です。離婚後の生活を考えるうえで、お金の問題は避けて通れません。たとえば、これまで収入がなかった専業主婦は、新たな生活のために仕事が必要になるかもしれません。仕事と収入があるサラリーマンでも、子供を引き取るのであれば、ひとりで仕事と子育ての両立をしなければいけないのです。

お金の問題について十分に話し合わないまま離婚してしまうと、後悔するケースが少なくありません。そのため、離婚前に財産分与をどのように分けるのかを、シッカリと考えておきましょう。

また、財産分与は専門知識が必要となるため、不安な方は離婚のプロである弁護士に手続きを依頼してください。なるべく早めに財産分与の手続きを依頼しましょう。下記の離婚相談サポートでは、一人一人の悩みや要望に見合った弁護士探しを無料でサポートしてくれます。「婚姻費用の交渉がしたい」「○○駅近くで相談に乗ってくれる離婚に強い弁護士を探している」など、細かい要望にも応え、適切な専門家を相談してくれるので、ぜひ活用してみてください。